最近、年代物のモバイル端末を、eBayなどでコツコツ収集中。『骨董移動端末館』と題して、ぼちぼち所蔵品をエントリで紹介して行きたい。現在の収蔵品は、VINTAGE MOBILEのページにまとめてあります。骨董モバイル端末集め、楽しいよ!おすすめ。
さて、骨董移動端末館、第3回はPalm Centro。今回も貴重な未使用品が入手できたので、開封の儀仕立てでご紹介。
メーカー | Palm Inc. / AT&T |
製品名 | Palm Centro |
型番 | 64833 |
発売年月 | 2007年10月14日 |
発売時価格/入手価格 | $299(3年契約)/ $49 @ eBay |
CPU | Intel XScale PXA270 312 MHz |
ストレージ | 64MB |
OS | Palm OS 5.4.9 |
ディスプレイ | 320×320ドット 65000色 |
カメラ | 1.3メガピクセル |
入力方式 | 感圧式タッチパネル、キーボード |
電源 | Li-Ion 1150 mAH |
寸法・重量 | 10.7 × 5.4 × 1.85 cm・119g (バッテリ込) |
詳細情報 | Wikipedia Palm Centro |
Palm Centroは、2008年にはBlackberry 8100に次いで全米売り上げ2位になるほどの人気スマートフォンだった。一方、長年隆盛を極めたPalm OSを搭載した、最後のモデルでもある。Palm社はPalm OSを捨てて、この後新しい自社製携帯OS、web OSへ舵を切る事になる。
初代iPhoneが発売されたのが2007年6月。Palm Centroはその約半年後に発売された機種ということになる。
▼Palm Centro、AT&T版のパッケージ。当時AT&T(GSM)とSprint(CDMA)から発売されていた。
▼6年の時を経て、Palm Centro開封!
▼ご開帳。まあよくある味気ないキャリア端末パッケージな感じ。
▼内容物。専用充電器、USB同期ケーブル、本体、マニュアル、同期ソフトの入ったCD。
▼Palm Centro本体。さすがに完全放電していて電源は入らなかった。
▼本体左側面。ボリュームキーとサイドボタンと言う名のよくわからないキー。
▼Centro下部。コネクタ右端は充電用コネクタ、左側は同期用接点とコネクタ。右端には米国向けには珍しく、ストラップホールが。
▼右側面。IrDAの受光部がある。
▼上部にはミュートスイッチ。
ミュートオンにすると、凄い強力なバイブの振動が伝わってきた。申し訳程度に震えて、着信に気づきそびれる最近のスマホにぜひ見習わせたい。
▼裏面。1.3メガピクセルのカメラ。カメラ上部はフラッシュではなく、自分撮り用のミラー。
裏面下部に、”ACCESS POWERED”とあるが、これは日本の株式会社ACCESSのこと。Palm Centro時代には、実はPalm OSの権利はPalmになく、ACCESS社にあった。このため、Palm Centroは、ACCESS社にPalm OSライセンスを受け、Palm社が製造したことになる。
Palmの歴史は、買収、スピンアウトの繰り返し。最終的にはHPに買収されることになり、製品・ブランドごと消滅する運命にある。詳しい話は、また別の機会に。
▼左上部の突起はスタイラスが収納されている。スタイラスは細くて凄くチープな感じ。
Palm Centroでは文字入力はハードキー、アイコン操作も指で不満無くできるので、スタイラスが必要になるシーンは多くない。
▼裏蓋は簡単に開いた。充電池はLi-Ion 1150 mAH。
▼左側にはマイクロSDカードスロット。
▼電池を外すと、SIMスロット。
▼手に持ってみるとかなり小さい。
良く知られているPalmのGraffiti手書き入力は搭載されず、文字入力はハードキーで行う。ハードキーとカーソルキー、専用ボタンを利用する事でほとんどの操作は出来てしまうので、タッチを利用する事自体あまり多くはない。そのため、小さいタッチスクリーン画面でも使いづらい局面はあまりない感じだ。
▼PalmOS初代機 Pilot(1996)と、最終機 Palm Centroを並べて記念写真。
メーカー | US Robotics | Palm Inc. / AT&T |
製品名 | Pilot 1000 | Palm Centro |
発売年月 | 1996年3月 | 2007年10月 |
発売時価格/入手価格 | $299/ $10 @ eBay | $299(3年契約)/ $49 @ eBay |
CPU | Motorola 68328 16MHz | Intel XScale PXA270 312 MHz |
ストレージ | 128KB | 64MB |
OS | Palm OS 1.0 | Palm OS 5.4.9 |
ディスプレイ | 160×160ドット モノクロ2値 | 320×320ドット 65000色 |
カメラ | なし | 1.3メガピクセル |
入力方式 | 感圧式タッチパネル、ハードキー5個 | 感圧式タッチパネル、キーボード |
電源 | 単4電池 x 2 | Li-Ion 1150 mAH |
寸法・重量 | 12 x8 x1.8 cm・160g | 10.7 × 5.4 × 1.85 cm・119g (バッテリ込) |
Pilot 1000登場以来、Palm OSは実に13年以上も、携帯デバイス向けのOSとして君臨したことになる。
▼同年に発表された初代iPhoneと並べて記念写真。
メーカー | Palm Inc. / AT&T | Apple Inc. |
製品名 | Palm Centro | iPhone |
発売年月 | 2007年10月 | 2007年6月 |
発売時価格 | $99(3年契約) | 4GB/$499 8GB/$599 (2年契約) |
CPU | Intel XScale PXA270 312 MHz | Samsung 1176JZ(F)-S ARM 412MHz |
ストレージ | 64MB | 4/8GB |
OS | Palm OS 5.4.9 | Apple iOS 1.0 |
ディスプレイ | 320×320ドット 65000色 | 3.5インチ・カラー液晶パネル |
カメラ | 1.3メガピクセル | 2メガピクセル |
入力方式 | 感圧式タッチパネル、キーボード | 静電容量式タッチパネル、ホームボタン |
電源 | Li-Ion 1150mAH | Li-Ion 1400mAH |
寸法・重量 | 10.7 × 5.4 × 1.85 cm・119g (バッテリ込) | 11.5×6.1×1.16 cm・135g (バッテリ込) |
初代iPhoneが発売されたのが2007年6月。Palm Centroはその約半年後に発売された機種ということになる。仕様を比較してみると、価格も含めて、当時いかにiPhoneのスペックがモンスター的であったかわかる。iPhoneが唯一劣っていた点としては、発売当初からしばらくの間、App Storeがなかった点がある。
2008年8月時点で、米国スマートフォン市場でのCentroは2位 (14.6%)、iPhoneは4位 (7.8%)であった。1位はBlackberry 8100、3位は8300だった。(出典: Admob Mobile Matrix Report August 2008)
初代iPhone発売から暫くの間、Palm CentroはBlackberryに並ぶ好敵手だったことが伺える。一方、Palm OSではもはやiPhoneへの競合は厳しいと悟ったのか、Palm社はPalm OSを捨て、次世代OS webOSの開発にシフトする。
Palm Centroで撮影した写真と動画を紹介しておく。
▼Palm Centroのカメラ(1.3Mピクセル)で撮影した写真。
▼こちらは参考まで、初代iPhoneのカメラ(2Mピクセル)で同じものを撮影した。
▼Palm Centroは動画も撮影できるので撮ってみた。元データは3gp。まあこんなもんだろ。
▼最後にPalm Centroの後継、web OSを搭載したPalm Pre (2009)との記念写真。
iPhoneを始めとする、近代スマートフォン対抗として開発されたweb OS。その最初の投入機種がPalm Preとなる。Palm Preに搭載されたweb OSの完成度ときたらハンパない。iOSやAndroidの機能でも、webOSにインスパイヤされたと思われるものが、いくつもある。もっとも、Preの開発チームはiPhoneチームからスピンアウトした連中が牽引していたわけだが。Preは機会があったら、骨董移動端末館で詳しく紹介したい。
以上で骨董移動端末館、第3回、Palm Centro 開封の儀、おしまいー。次回をお楽しみにw
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