11月4日国内発売予定のAmazonのハイエンド電子書籍リーダー、Kindle Voyage。注文してあった米国3G版が到着したので、先行レビュー。
Kindle (2014)とFire HD6 (2014) のレビューは、下記のエントリをご参照。
Voyage購入された方、何か不明な点があったら、下記も参考にどうぞ。
購入したのは、米国版のKindle Voyage WiFi + 無料3G、キャンペーンなしモデル。
▼Kindle Voyage、パッケージはいつもの通りのコンパクトなもの。
当然のことながら、米国版なのでパッケージは英語で表記されている。
▼開封。Kindle Voyage本体登場。
初回起動前だけ表示されるいつもの初期画面が表示された状態になっている。
で、この初期画面からして、いままでの E Inkパネルで体験したことがない、くっきりとした鮮明な表示がされている。
▼付属品はクイックガイドとUSBケーブルのみは、他のKindleモデル同様。
Kindle VoyageはFire HDよりずっと高いんだから、ACアダプタぐらいつけてくれてもいい気が。
米国版であっても、現行のKindleシリーズは全て多国語対応がされているので、日本語を選ぶと日本語表示になるし、日本のAmazonアカウントを登録すれば、日本のストアから購入できる。日本版を購入したのと、なんら利用感に違いはない。
▼手に持ってみると、凄く軽く持ちやすい。Kindle Voyageは180gと、タッチパネル搭載Kindleでは最も薄く、最も軽い。
1080×1440のE Inkパネルで表示される文字は文句なく美しい。
画面両サイドにある長い線の部分はページ送りスイッチ。感圧式になっており、触っただけで勝手に動作しないように考慮されている。その上にある・はページ逆送り。右利き、左利きともページ送り・戻しが片手で操作できるようになっている。スイッチが反応するとhaptic (バイブ) でフィードバックがある。
搭載する電子インク (E Ink)パネルはKindle史上最高の1080×1440 300ppi。300ppiといえば、ちょっと昔のレーザープリンター品質。Kindle Voyageの表示品質は後ほど紹介するが、上記の写真を見ただけで、解像感が高いのがお分かりいただけるのでは。
さらに、Kindle Voyageでは前面パネルが初めてフラットな強化ガラスになり、さらにマイクロエッチング加工をすることにより、写り込みを抑えている。
▼左のKindle Paperwhiteは、E Inkパネル部分が窪んでいるのに対し、右のKindle Voyageが完全にフラットなのが分かる。
手に持ってみると、全面がフラットなので、まるで普通のタブレットを手にしているようだが、とんでもなく軽量。他のデバイスに例える事ができない、なにか不思議な感覚に囚われる。
▼左上部には環境光センサーがある。
このセンサーで明るさを検知、フロントライトの照度を自動的に調整する。
▼明るさの設定アイコンをタップすると、Kindle Voyageにしかない、[明るさを自動調整] の設定項目がある。
さらに、ナイトライト機能というものが搭載されている。( 設定メニューから[画面ライト] – [ナイトライト] )
ナイトライトをオンにすると、暗い部屋で周囲の暗さに目がなれるのに合わせて、画面を少しずつ暗くしていってくれる。
▼Kindle Voyageの裏面。
これまでのKindleシリーズでは、電源スイッチが底部だったのが、裏面上部に移動になっている。
裏面はきれいにコーティングされ、高級感のあるデザインと合わせて、Apple製品的な所有満足感を感じさせる。表面処理がキレイにされているので触ってもわからないが、この裏面部分のパーツはマグネシウム合金らしい。
あれ、、なんということでしょう。
▼US 3G版を購入したの筈が、天下りマークがついているではないですか。[ロケ不要]
ちなみにKindleシリーズ 3Gモデル、US版では国内はもちろん、グローバルに無料でローミングしてくれる。
▼グアムのビーチで使ってみた。3Gで現地のキャリアとばっちりと繋がった。
e Inkは紙と一緒で環境光が強いほど視認性が上がる。快晴下での高解像度e Ink、大変読みやすかった。
▼現行のKindleシリーズを裏面から。左からKindle (2014)、Kindle Paperwhite (2013)、Kindle Voyage。
写真から分かるように、VoyageはこれまでのKindleと異なる工業デザインになっている。
▼Kindle (10.1㍉)、Kindle Voyage (7.6㍉)、Kindle Paperwhite (9.1㍉) の厚さを比較。
底部のマイクロUSBコネクタの隣には、充電インジケータがあり、充電中はオレンジに点灯する。
▼Kindle Fire HDX 7 (2013)との裏面デザイン比較。
Kindle VoyageはFire HDXシリーズの工業デザインを踏襲しているようだが、周辺部の薄さを際立たせる、あるいは持ちやすさのために、上部と左右をより大きく削いだデザインになっている。片手で持つと、薄くなったエッジの部分に人差し指、ページ送りボタンに親指が自然と乗り、非常に持ちやすい。
では、Voyageの高解像度 E Inkパネルの表示能力をざっと評価してみる。
▼Kindle (2014)、Kindle Paperwhite (2013)、Kindle Voyageのコミック表示。
(画像出典) ブラックジャックによろしく 9 (Kindle版) 佐藤 秀峰著
それぞれ、E Inkパネルの解像度が違うので、パッと見ても明らかに表示能力が違う。上記の写真では分からないと思うので、上記の写真の右下部分を拡大撮影して比較してみる。
▼上から順にKindle Voyage、Kindle Paperwhite(2013)、Kindle(2014)。
写真はコピペ以外無加工。クリックで高解像度で拡大表示できる。
(画像出典) ブラックジャックによろしく 9 (Kindle版) 佐藤 秀峰著
線のエッジ部分の表示にかなり差があるのが分かる。
今度は、2段目のコマ右側の文字を拡大して比較してみる。
▼左から順にKindle Voyage、Kindle Paperwhite(2013)、Kindle(2014)。。
写真はコピペ以外無加工。クリックで高解像度で拡大表示できる。
(画像出典) ブラックジャックによろしく 9 (Kindle版) 佐藤 秀峰著
Kindle (2014)の解像度は800×600 167ppi、Paperwhiteは758×1024 212ppi。正直なところ、212ppiでもコミックのセリフ文字の表示はボヤっとしていて、表示能力不足が感じられた。上記の写真をみてもらっても、ジャギーが確認できると思う。一方、Voyageの1080×1440 300ppiパネルでは、ジャギーが殆ど見られない。
次に、テキスト文字の表示を比較してみる。
▼標準搭載のプログレッシブ和英中辞典を同じ大きさで表示し、画面キャプチャーを合わせこんでみた。
大きさの順に、Kindle Voyage、Kindle Paperwhite(2013)、Kindle (2014)
画像はコピペ以外無加工。クリックで高解像度で拡大表示できる。
実際に並べてみると、情報量がかなり違うのがよくわかる。
今度は、画面左上部の部分を拡大撮影してみる。
ちなみに、画面キャプチャは画面の対角を両方同時にタップ。母艦に繋ぐとルートディレクトリーにある。
▼左から順にKindle (2014)、Kindle Paperwhite (2013)、Kindle Voyage。
画像はコピペ以外無加工。クリックで高解像度で拡大表示できる。
テキストの表示でも、解像度ごとに明らかに差があるのが分かると思う。
これまでのKindleで表示がボヤッとしていて不満だった部分が、Voyageの高解像度パネルで、完全に近い形で解決されていると思う。
各Kindleで上記画面を表示したものを撮影したものを高解像度で上げておく。
晴天屋外で、フロントライト最小にして撮影。それぞれクリックで拡大画面表示。
▼Voyage (2014) 1080×1440 300ppi
▼Paperwhite (2013) 758×1024 212ppi
▼Kindle (2014) 800×600 167ppi
▼オマケでFire HD 6 (2014) 1280 x 800 252ppi
ページ送りの性能向上に期待されている方もいるかと思うが、Paperwhite (2013)、Kindle (2014)、Voyageともプロセッサーが一緒で(Freescale i.MX6SL 1GHz) 、大きな差は感じられない。Voyageはプロセッサー内蔵メモリが倍増しているが、この差分は高くなった解像度分に吸収されてしまっているのでは。
一方、Paperwhite (2012)は前世代のプロセッサー(i.MX50 800 MHz)を使用しているため、Voyage、Paperwhite(2012)、Kindle (2014)の方がページ送り性能がかなり高いのがわかる。
書いててよく分からなくなったのでまとめると、Kindle(2014)=Paperwhite(2013)=Voyage >> Paperwhite(2012)
わりとどうでもいい豆知識だが、E Inkのコントローラを搭載したプロセッサーはFreescale社しか製造していない。したがって、Kindle初めE Ink搭載電子書籍リーダーの表示性能向上は、Freescale社のプロセッサーにほぼ依存していると言える。
ところで、見た目がまったく一緒に見えるPaperwhite 2012/2013の見分け方は、裏面にKindleのロゴがあるのが2012年モデル。Amazonのロゴがある方が2013年モデル。
▼以前撮影した、Paperwhite 2013年モデルと、2012年モデルのページ送り比較動画。Voyageでもこの2013年モデルとほぼ一緒。
【まとめ】
Kindle Voyageの300ppi E Inkパネル、一度見たらもう戻れない。
値段はやや高いが、そこかしこに価格なりのおもてなし。
- タッチ型Kindleで史上最薄、最軽量。ボディはマグネシウム合金。
- フラットパネルに高級感のあるデザインと仕上げ、優れたホールド感
- 環境光に自動調光するフロントライト
電子書籍ヘビーユーザーなら検討の価値あり。
Kindle Voyage ヘルプビデオ [Amazon]
Kindle シリーズ 現行モデル比較表
Kindle Paperwhite (2013) | Kindle Voyage (2014) | Kindle (2014) | |
---|---|---|---|
ディスプレイ | 6″ E Ink®パネル (Carta) 758×1024 212ppi モノクロ 16階調 フロントライト | 6″ E Ink®パネル (Carta) 1080×1440 300ppi モノクロ 16階調 自動調光フロントライト PW比39%輝度向上 反射防止強化ガラス | 6″ E Ink®パネル(Pearl?) 800×600 167ppi モノクロ 16階調 フロントライトなし |
プロセッサ | Freescale i.MX6SL 1GHz (256MB RAM) | Freescale i.MX6SL 1GHz (512MB RAM) | Freescale i.MX6SL 1GHz (256MB RAM) |
ユーザ・ インタフェース | 静電容量タッチパネル ハードキー: 電源のみ | 静電容量タッチパネル ハードキー: 電源キー ページ送りボタン x4 | 赤外線式タッチパネル ハードキー: 電源のみ |
本体色 | ブラック | ← | ← |
外寸/ 重量 | 169 x 117 x 9.1mm 206g (WiFi) 215g (3G+WiFi) | 162 x 115 x 7.6 mm 180g | 169 x 119 x 10.1mm 191g |
メモリ容量 | 4GB (US版は2GB) | 4GB | ← |
使用可能時間 | 8週間 (ワイヤレスOFF時) | 最長6週間 ワイヤレス接続オフで1日30分使用 | 最長4週間 ワイヤレス接続オフで1日30分使用 |
ワイヤレス | 802.11b/g/n GSM + HSDPA (3Gモデル) | ← ← | 802.11b/g/n |
オーディオ | なし | ← | ← |
価格 | WiFi 10,280(広告付き) 12,280(広告なし) WiFi+3G 15,480円(広告付き) 17,480円(広告なし)※広告つきモデルは 2014年発売 | 11月4日発売 WiFi 21,480円(広告付き) 23,480円(広告なし) WiFi+3G 26,680円(広告付き) 28,680円(広告なし) | 6,980円(広告付き) 8,980円(広告なし) |
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