2017年11月15日、日本でもついにAmazon Echoシリーズが投入されました。このエントリは、Amazon EchoとAlexaに関する情報のまとめになります。日本語版Amazon Echoは3機種が発売されたばかりですが、国内未発売の米国版モデルを含めた情報をまとめていきます。今後も情報を追加して行きたいと思っています。ご興味のある方はブックマークをどうぞ。
Amazon Echo/Alexaとは
Amazon Echoは2015年初頭に出荷が開始された、世界で最初のスマートスピーカーです。当時はまだスマートスピーカーという定義もなく、Amazonの製品説明を読んでも個人的には『うーむ、いったいなんじゃこりゃ』という印象でした。すぐ買ったんですが、2-3か月転送会社に寝かせてましたw
▼初代Amazon Echo
Amazon Echoシリーズは、独自のパーソナルAIアシスタント”Alexa (アレクサ)”を搭載し、遠距離音声認識により離れた場所からもユーザーの音声を聞き取り、応答します。Amazon Echoシリーズはアメリカでは莫大な市場シェアを持っていますが、米国英語以外ではイギリス英語、ドイツ語しかサポートされていませんでした。日本語版スマートスピーカーとしては、Google Homeが数か月先行したため、Amazonが後発のイメージを持つ人もまだ多いと思います。ですが、実際はAmazonがこのジャンルの開拓者的立場であり、その強みをもって国内でも普及が急速に進むと考えられます。
Amazon Echoと他のスマートスピーカーの違い
GoogleアシスタントやSiriなど、他のAIアシスタントはスマートフォンから呼び出して利用することを前提に開発されました。一方Amazon Echoは常時待機状態、遠隔音声認識に対応したスマートスピーカーにAIアシスタントAlexaが連携するように開発されました。
Echoシリーズのハードとしての大きな特徴は高性能な聞き取り能力にあります。Echo、Echo Dot、Echo Plusは筐体上部に7つものMEMSマイクロフォンで構成された、遠距離音場(far-field)マイクロフォン・アレイを搭載しています。(Echo Showは8基、Echo Spotは4基)
▼筐体上部に搭載された7基のマイクロフォン・アレイ
▼内部画像。緑の部品がMEMSマイクロフォン (画像出典: iFixit)
この7つのマイクと、特定の方角からの音声を増幅してを聞き取るためのビームフォーミング技術、高性能ノイズキャンセリング機能が連携し、音楽再生中や騒音が大きい環境でも、離れた場所から呼びかけた内容を聞き取ることができます。
ちなみに、iFixitの記事によると、Google HomeにはMEMSマイクロフォンがたった2個しか搭載されておらず、『Echoは7個も載ってるのに、これで大丈夫か?』と書かれてます。
また、Alexaの起動ワードは『Alexa』と名前だけです。SiriとGoogleアシスタントの場合、『Hey Siri』、『OK グーグル』のように呼びかけ語を必要とします。また、スマホ上のAIアシスタントはマイクの性能もあり、ちょっと離れると反応が鈍く、『OKグーグル』と、呼びかけてから様子をみる習慣がついてしまった方も多いのではないでしょうか。Amazon Echoの高性能な聞き取り性能なら、離れた場所からも、『Alexa、明日の天気を教えて』、と呼びかけに続けてリクエスト・質問を話すことができます。
結果として、Amazon Echoでは、より自然にAIアシスタントと対話をすることができます。音楽をかけているときや、Alexaが何かを読み上げているのを中断させるにも、『Alexa、止めて!』とシャウトすればすぐに中断してくれます。
音楽が大音量で鳴り響いているのを急いで止めたいとき『OKグーグル!』って言うのなんか気分的にしっくりこないですよね。
後述しますが、2年以上の先行期間の間にEcho/Alexaは強力なエコシステムを構築しました。米国では数万のAlexa拡張機能(Alexa スキル)、多数のAlexa対応スマート機器、他社製Alexa搭載機器が市場に投入されています。
Amazon Echoシリーズ概要
日本国内で発売が開始されたAmazon Echoシリーズは、Echo、Echo Dot、Echo Plusの3機種になります。米国ではこれに加えて、ディスプレイを搭載したEcho Showなどの機種も発売されています。現行各機種の特徴を以下にまとめておきます。
日本で発売されたEchoは、初代Echoの第二世代と位置づけられたモデルです。Echoの背の高い筐体には、Powered by Dolbyのウーハーとツイーターの2スピーカーが内蔵されています。
▼Echoの音響構造
結果として、響きがあり、艶のある美しいAlexaの音声が楽しめます。あ、音楽もいい音で聞けますよw Echoシリーズは全モデルBluetooth接続でリモートスピーカーにすることができます。常時電源オンの利点で、PCやスマホとペアリングして外部スピーカー替わりに使うのも便利です。
日本ではEchoのカラバリは3種類のみですが、米国では全6種類の構成で販売されています。
Echo DotはEchoの廉価版という位置づけの製品です。日本で発売されたEcho Dotは第二世代になります。初代Echo Dotは2016年2月、第二世代は同年10月に米国で発売されています。Echo Dotの筐体の底面積はEchoと同じですが、高さが11センチ強低くなっており、非常にコンパクトになっています。ただし、内蔵スピーカからの音声はEchoと比べるとかなり貧弱です。そのためもあってか、Echo Dotは外部スピーカ端子を搭載しています。外部端子はユーザーの反応もよかったようで、他のEchoシリーズ(Echo Showを除く)にも採用されています。
Echo PlusはEchoにスマートホーム・ハブを搭載した製品になります。Philips Hueスマート電球などのスマートホーム機器では、多くがZigBeeという近距離無線ネットワーク規格を使用しています。
このようなZigBee対応製品をEchoからコントロールするためには、Echoに対応した専用のスマートホーム・ハブが必要でした。
▼Echo対応ZigBeeハブ、Philips HUEブリッジ
Echo PlusはZigBeeを搭載したハブ機能を内蔵しており、直接ZigBee対応スマートホーム機器をコントロールすることができます。
Echoに対応したスマートホーム機器はWiFiでコントロールできる機器もあります。このような製品の場合、ZigBeeハブ機能は必要ありません。たとえばBelkin社のWeMo(英語版)はWiFiでネットワークされており、全てのAmazon Echoモデルから直接コントロールすることができます。
日本版Echo Plusの詳細レビューは下記サイトへどうぞ。
Echo Show(国内未発売)
キャッチコピーは『見せてくれるAlexa』-Echo Showは初めてタッチスクリーン・ディスプレイを搭載したEchoです。音声での案内に加えて、スケジュールや週間天気を表示したりできます。
▼天気予報を聞いている間に画面にも情報が表示されます
また、写真や動画、Music UnlimitedやPrime Musicで再生している音楽の曲名リストなどを表示し、タッチパネルで選ぶこともできます。『Alexa、次のページを表示して』、『Alexa、1番目のアルバムを再生して』などと画面を見ながらAlexaに指示することもできます。
▼Music Unlimitedの曲を再生しながら歌詞を表示することも。
また、別の部屋や遠隔地のEcho ShowやEcho Spot 、スマホ上のAlexaアプリとテレビ電話(Drop-in)でつなぐことも可能です。
Echo SpotはEcho Showの廉価版にあたるモデルです。小型で丸形のタッチパネルディスプレイを搭載した、まるでChumbyのようなキュートなデザインのEchoです。ベッドサイドなどにおいてアラーム時計代わりにするのに最適かも。
Echo Look(国内未発売)
始まる前から売り期を逸してしまったような残念なEchoがEcho Lookです。2017年4月から招待制で限定販売が開始されましたが、半年以上たってもまだ招待制のままです。Echo Lookは謎なデザインのボディに高性能なカメラとLEDフラッシュを搭載し、ユーザーの全身写真や、360度動画を撮影指定、背景だけ変えたりしてファッションコーディネートがなんたら、とかできるらしいです。対物深度の測定にはインテルのRealSense テクノロジーが使われていますが、残念ついでにインテルが開発サポートを最近終了してしまいました。Echo Lookはおそらく日本には投入されないかと思います。
Amazon Tap(国内未発売)
Amazon Tapもちょっと微妙な製品です。Amazon Tapはバッテリー駆動が可能なAlexa搭載のポータブルスピーカーです。室内では付属の充電ベースに置いて使用し、外へは本体だけ持って出かけられます。外に持ち出せるのは便利そうですが、テザリングなどでいちいちスマホなどにつなぐのは面倒な気がします。
Amazon Tap、発売された当初は、発話ボタンを押さないとAlexaと対話ができないため、”Echo”のブランド名を冠することができませんでした。そのため、Amazon Echoシリーズのマーケティング傘下に入れず、わりと日陰の存在でした。最近、Hands-free Alexa対応となり、通常のEchoと同様の常時聞き取りモードが使えるようになったらしいです。
Alexa搭載Amazonデバイス
Amazon Echo以外にも、Alexaを搭載したAmazonデバイスがあります。実は、FireタブレットとFire TV、Fireスティック全製品が、米国ではAlexa搭載で販売されています。米国では2年ほど前から、Fireシリーズの主要な機能としてAlexa搭載を宣伝しています。米国Amazon.comで各製品をみると、製品名自体にまでAlexaが含まれているのがわかります。
All-New Fire HD 10 Tablet with Alexa Hands-Free
“最新型 Fire HD 10ーハンズフリーAlexa搭載“
All-New Fire TV with 4K Ultra HD and Alexa Voice Remote
“最新型Fire TV 4K UHD & Alexa音声リモコン付属“
HD10の製品名にAlexa ”Hands-Free”との記述があります。実はHD10を除くFire 端末では、”Alexa…”の発話で話しかけることができません。他のFireタブレットの場合はホームボタンを長押ししてから発話します。Fire TVの場合はリモコンのマイクボタンを押してから話しかけます。唯一、Fire HD10(2017)だけが、Amazon Echoのように常時聞き取り状態になっており、スタンバイ状態のHD10に対して”Alexa, “で始まる発話に対して返答してくれます。
日本で発売されているFireタブレットやFire TVで英語版Alexaは動作しないように見えますが、米国Amazonアカウントでサインインすることにより、どちらもAlexa(英語版)を有効にすることが可能です。
▼FireにUSアカウントでサインインすると、Alexaのオプションが現れます。
現状、日本のAmazonアカウントに登録したFireでは、英語版Alexaが無効になるように設定されているようです。
Fireタブレット、Fire TVへの日本語版Alexa搭載がいつになるかは、まだ発表されていませんが、早い時期での投入を期待したいところです。
Alexa対応サービス&製品
Alexaスキル
Amazonは初代Echoの発売当初から、開発キットを提供してAlexaに対応した追加機能(Alexaスキルと呼びます)を推進してきました。
Echo日本語版の発売前からパートナー企業と連携をとっていたようで、日本語版Alexaスキルが300近くも公開されています。これらのスキルは、アプリから追加するだけで、EchoやAlexa搭載デバイスから使うことができるようになります。
Alexaにスマートホーム機器を新しくつなぐ場合などにも、専用のAlexaスキルを追加して使います。
【ご注意】英語版スキルは日本のアカウントからは表示されません。(逆も同様です) したがって、英語版のみ対応のAlexaスキルは、日本のアカウントにサインインした状態では使用できないことになります。スキルに依存するAlexa対応機器も同様に動作しません。さらに、スキルによっては端末側の言語モードに依存するものもあります。ご注意ください。
Alexaの拡張機能・サービスの開発キットはASK (Alexa Skills Kit)と呼ばれます。ASKを使用することにより、Alexa上で動作する独自のサービス、既存機器をAlexaと連動するコードの開発などが行えます。米国向けを合わせると、数万のAlexaスキルがリリースされています。
ASKに関するAmazonの情報サイトはすでに日本語化がすすめられています。ご興味のある方は下記をどうぞ。
Alexa対応スマートホーム機器
Echoの日本発売と同時に、Amazonスマートホームストアが開設されています。まだ数は少ないですが、Amazonお墨付きの商品がいくつか掲載されています。
※こちらに掲載されていない並行輸入の英語版Alexa対応機器 (前述の通り日本語版で動作しないものに注意してください) も販売されているようです。
米国のAmazonにも”Amazon Smart Home“という専用ページがあり、こちらにはAlexa対応のスマートホーム機器が何百種類も登録されています。数が多すぎて全部見るのも大変ですが、どんなものがAlexaにつながるのか、眺めてみると楽しいと思います。LED電球、コンセント・スイッチ類、セキュリティカメラ、スマートロックなどが売れ筋の商品のようです。日本でもAlexaに対応したスマートホーム機器がどんどん増えてくるといいですね。
Alexa搭載機器
Alexaの本体はAmazonクラウド上にあります。Amazonではクラウド上のAlexaへのアクセスをAlexa Voice Service(AVS)として公開しています。AVSを使えば、Amazon製以外の端末でもAlexaを搭載することが可能になります。
米国ではAlexaを実装したスマートスピーカ、スマートフォン、カーナビなどの製品が発売されています。上記の写真はHTC U11、Hands-free Alexaを搭載したスマートフォンです。 米国Amazonの”Amazon Alexa Enabled Devices“のページには、様々なAlexa搭載デバイスが掲載されています。
現行Amazon Echo仕様比較表
Echo (第二世代) | Echo Dot (第二世代) | Echo Plus | Echo Spot (7/6 発売) | |
---|---|---|---|---|
価格 | ¥11,980 | ¥5,980 | ¥17,980 | ¥14,980 |
画面 | × | × | × | 2.5インチ タッチパネル |
スピーカー | 6.35cmウーハー &1.6cmツイーター | 1.5cm x1 | 6.35cmウーハー &2cmツイーター | 3.6cm x1 |
DOLBY | 〇 | × | 〇 | × |
マイク | 7基 | ← | ← | 4基 |
音声出力 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
カメラ | × | × | × | フロントカメラ (画素数非公開) |
WiFi | 802.11 a/b/g/n (2.4・5 GHz) | ← | ← | ← |
Bluetooth | A2DP/AVRCP | ← | ← | ← |
ハブ機能 | × | × | GigBee対応 | |
色 | ファブリック全3色 | 黒・白 | 黒・白・ シルバー | ← |
外形 | 148x88x88mm 821g | 32x84x84mm 163g | 235x84x84mm 954g | 104x97x91mm 419g |
付属品 | ACアダプタ | 9WACアダプタ USBケーブル | ACアダプタ | ← |
Echo/Alexa関連情報
Alexa Skill テストツール(Echosim.io)
ブラウザでアクセス、アマゾンアカウントでサインインすれば、Echoシミュレータとして機能します。
Amazon Musicアプリ
Amazon Musicアプリは、Alexaによる音声コントロール対応になりました。アプリ株のAlexaメニューをタップすると、応答モードになります。
Amazon/Alexaの発話・コマンド情報まとめは下記エントリをご参照ください。
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